【オルガノイド研究部門】産学共同講座の学術論文がジャーナルに掲載されました。 ​


KBBM

この度、当社と京都大学との産学共同講座であるクリニカルバイオリソース研究開発講座で行われた研究が、ジャーナル「Human cell」に掲載されましたのでご報告いたします。
この研究は、当社と京都大学との共同研究で作製した乳がんオルガノイドを用いて実施されました。


タイトル:
「De-differentiation in cultures of organoids from luminal-type breast cancer is restored by inhibition of NOTCH signaling」

概要:
本研究では、33例のLuminal型乳がん患者の試料からオルガノイドを調製・培養し、そのエストロゲン受容体(ER)の発現を調べました。ERの発現状態はPrimaryオルガノイドではおおむね維持されていましたが、ほとんどの症例で継代後に低下していました。継代を5回以上経たオルガノイドのER発現を解析した結果、ER発現レベルが患者と同等なライン(3/33; 9%)、完全に消失するライン(3/33; 9%)、様々な程度で減少するライン(27/33; 82%)に分類されました。マーカータンパク質の免疫組織化学的解析から継代後の分化状態は、Luminal様からBasal様へと変化していました。このような培養によるER発現の減少及び分化状態の変化は、オルガノイド培地にNOTCH阻害剤を添加することにより抑制することができました。以上から、Luminal型乳がん細胞の分化状態は非常に柔軟であること、そしてNOTCHシグナルを阻害することにより、Luminal型乳がんオルガノイドの分化状態を培養下で維持できることが示唆されました。

この研究は、当社と京都大学との共同研究で作製した乳がんオルガノイドを用いて実施されました。


下記URLよりご覧いただけます。
https://doi.org/10.1007/s13577-023-00975-7